INDEX
1.
紫外線療法とは
2.
紫外線療法の保険適応疾患について
3.
紫外線療法の治療
4.
紫外線療法の機器
4-1
ナローバンドUVB
(シネロンキャンデラ社 ダブリン7)
4-2
エキシマランプ
(アブソルート社 エキシプレックス308)
4-3
エキシマランプ
(アブソルート社 308エキシマーシステム)
4-4
パラス(アブソルート社 エキシマレーザー)
5.
紫外線療法に関するQ&A
1. 紫外線療法とは
紫外線療法とは、皮膚疾患の治療法のひとつで、紫外線の光を数秒から数十秒照射する治療です。照射後は光が当たった部分が少し温かいような感じがしますが、全く痛みはありません。紫外線療法は、紫外線の免疫の働きを弱める作用や、皮膚に色をつける作用などを利用した治療方法で、免疫の反応や細胞の増殖を抑える効果が期待されます。紫外線療法のほかには、「紫外線治療」や「光線療法」とよばれることもあります。
紫外線とは
紫外線(UV)は「光」の一種で、大きく3つに分類されます。
- ・UVA(長波長紫外線)…320nm~400nm
- ・UVB(中波長紫外線)280nm~320nm
- ・UVC(短波長紫外線)…100nm~280nm
最近では、アレルギーを発症する年齢が下がっている傾向があります。幼児であっても、花粉症やアレルギー性鼻炎などの症状があらわれることがあります。 アレルギーは治療せずに放置すると、花粉症のような鼻水やくしゃみ、鼻づまりといった症状だけでなく、呼吸系疾患(喘息など)や、皮膚疾患(アトピー性皮膚炎)へ連鎖してしまい、症状が広がることもあります。症状に気づいたら、早めに原因を突き止めて、治療をはじめることが大切です。
東京都大田区「御嶽山駅」から徒歩1分の「御嶽山皮ふ科」では、診察時に空きがあればすぐに検査ができますが、同時に複数の検査ができないので予約優先となります。事前にお電話でのご予約をおすすめします(当日可)。
2. 紫外線療法の保険適応疾患について
紫外線療法は、アトピー性皮膚炎、乾癬、尋常性白斑、掌蹠膿疱症、円形脱毛症などの疾患に対して保険適応で、保険診療での治療をうけることができます。なかなか治らない難治性のかゆみに対し、外用薬(塗り薬)に加えて、紫外線療法を併用することで治療効果を高めることが期待できます。紫外線の中でも、からだへの影響が少ない波長を使用するので、副作用もなく非常に優れた治療法です。
アトピー性皮膚炎
日本皮膚科学会における(アトピー性皮膚炎診療ガイドライン)において、紫外線療法はアトピー性皮膚炎の治療のひとつとされています。塗り薬だけでは症状が改善されない方や、これまでの治療で副作用を生じている患者様にとって特に有効です。
紫外線療法(光線療法)は、かゆみを抑える作用があるので、通常の外用薬(塗り薬)や飲み薬でおさまらないかゆみに対しても有効です。 さらに、紫外線療法(光線療法)により、長時間にわたり湿疹やかゆみが治まっている状態を維持することができるので、ステロイド外用薬の使用量や副作用を減らすことが期待できます。
乾癬
乾癬の治療は、外用薬(塗り薬)だけでは治療効果が不十分な場合があります。また体表面積の10%(おおよそ手のひら10枚分)以上の広い範囲に皮疹がある場合は、「紫外線療法」や、内服薬や注射薬による「全身療法」による治療を検討します。
紫外線療法(光線療法)は、内服薬や注射薬のように副作用の心配がほとんどないので、多くの乾癬患者様にとって、まずは効果を試していただく優れた治療法です。 紫外線療法によって、長期間にわたり病状が落ち着いている状態を維持できる効果が期待されるだけでなく、ステロイド外用薬の使用量や副作用を減らすことが可能です。
尋常性白斑
白斑は色素をつくる細胞のメラノサイトが減少したり、消失したりするために生じます。白斑の治療方法としては、ステロイド外用薬(塗り薬)で経過をみることが多いですが、紫外線療法(光線療法)と併用することで、ステロイド外用薬だけの治療よりも効果が高まるとされています。紫外線療法(光線療法)の反応が良い部位としては、顔、頚部、体幹、四肢の近位部です。紫外線療法を続けることで、毛穴の周辺や、白斑の周辺から色素再生が進みます。一方で、四肢の遠位部や大きな白斑に対しては、紫外線療法での色素再生が起こりにくく、治療が難しいといった傾向もあります。
掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)
掌蹠膿疱症とは、手のひらや足の裏に水疱(みずぶくれ)や膿(うみ)をもったたくさんの膿疱(のうほう)が繰り返し現れる皮膚疾患です。治療にはステロイド外用薬などに加えて紫外線療法(光線療法)を併用することが有効です。
円形脱毛症
UVB(中は紫外線)を出力できる医療機器によって、脱毛部分に照射して紫外線療法を行います。2020年4月に保険適応となりました。週に1~2回の紫外線治療を行います。1回の治療時間は頭部全体の場合でも数分程度、1カ所のみの場合であれば数秒程度です。
3. 紫外線療法の治療
紫外線療法(光線療法)の治療は、まずは診察によって紫外線療法が有効な皮膚病かどうかを診断します。照射部位が広範囲の場合は、ナローバンドUVBを照射します。局所的な場合は、エキシマライトを照射します。1分から5分程度で照射は終了します。
紫外線療法(光線療法)の副作用はありませんが、照射部分がすこし暖かく感じる場合がある程度です。最初は1週間に2回程度の通院をおすすめしています。効果がでてきた場合は1週間に1回、もしくは2週間に1回のペースで通院をお願いしております。
<紫外線療法を受けられない方>
以下の方は紫外線療法を受けることができません。
皮膚がんや、皮膚がんの既往歴のある方
日光にあたることを禁止されている方(色素系乾皮症などの疾患をお持ちの方)
光線過敏で炎症を起こしやすい方
光線で炎症を起こしやすいお薬を使用中の方(特に湿布薬などに注意してください)
免疫抑制剤の治療をしている方
4. 紫外線療法の機器
医療法人社団 恒潤会では合計4台の紫外線療法機器を完備しており、それぞれを使い分けることで、皮膚の症状に対して最適な治療を行うことが可能です。医院によって、導入している紫外線療法の機器が異なります。詳しくは医師までご相談ください。
ナローバンドUVB(シネロンキャンデラ社 ダブリン7)
全身用の紫外線療法(光線療法)の機器として、キャンデラ社の「ダブリン7」を導入しています。「ダブリン7」は三面鏡にナローバンドUVBランプが10本搭載している構造なので、閉所が苦手の患者様でもストレスを感じることなく照射を受けていただくことができます。また扉状に開く機器なので、均一かつ短時間での紫外線を当てることができます。そのため、ムラが少ない効果的な治療を実現することができます。
実際に照射する際は、患者様は服を脱いで、三面鏡の前に立っていただき、 立位のまま半身ずつ紫外線治療を行います。 からだの前側照射、後ろ側照射と、それぞれ1分から2分程度照射します。
エキシマランプ(アブソルート社 エキシプレックス308)
狭い範囲の紫外線療法(光線療法)の機器として、アブソルート社の「エキシプレックス308」を導入しています。「エキシプレックス308」は高出力での照射が可能なため、従来の紫外線療法よりも短い照射時間で、少ない回数で治療効果が現れる新しい紫外線治療器です。特にかゆみの抑制効果が非常に強いことが特徴です。1回の照射時間は10秒ほどです。効果を高めるためには、繰り返し照射を続ける必要があるので、1週間に1回から2回の通院をおすすめしております。
エキシマランプ(アブソルート社 308エキシマーシステム)
狭い範囲の紫外線療法(光線療法)の機器として、アブソルート社の「308エキシマーシステム」を導入しています。「308エキシマーシステム」は、ナローバンドUVBの中でも、エキシマレーザーと同じ308nmの波長を主としています。健常な皮膚にダメージを与えることなく、病変部分にのみ治療ができる紫外線療法機器です。照射部位が4㎝×4cmtk小さいため、全身や大きい範囲で病変をお持ちの患者様には不向きといえます。 尋常性乾癬や、尋常性白斑、掌蹠膿疱症、円形脱毛症などの皮膚疾患に 一定の有用性があります。
パラス(アブソルート社 エキシマレーザー)
日本においては2021年7月に承認された新しい紫外線療法の新たな選択肢として、アブソルート社の「PALLAS-パラス」があります。「PALLAS-パラス」は世界初で唯一であるチタンサファイアレーザーで、311nmの紫外線波長帯のレーザー光を照射することができます。基本的には、ナローバンドUVBと適応疾患は同じですが、特に「白斑」に対する有効性が注目されています。エキシマレーザーと比べると、紅斑がでにくいといったメリットもあり、露出部分の照射に適しています。照射面積も小さく、狭い範囲での照射なるため、全身や広い範囲の照射には不向きといえます。
またエキシマランプ308nmでは治療しきれなかった病変対して、「PALLAS-パラス」は311nmの波長をレーザーで高輝度照射ができる新しい紫外線レーザーです。当院は新しい紫外線機器「PALLAS-パラス」の導入で、いままでになかった治療の選択肢を提供ます。
5. 紫外線療法に関するQ&A
ドロップスクリーン検査は保険適応で、13種類分の料金で41種類のアレルゲンの検査が可能です。自己負担が3割の方は、窓口でのお支払金額は5,000円弱となります。(※別途、診察料がかかります。)そのほか、検査や処置、処方があれば加算されます。また、ドロップスクリーン検査は小児医療助成の対象のため医療証が使用できます。
Q1:どのくらいの頻度で治療が必要ですか?治療期間の目安はありますか?
はじめは効果を得るために、1週間に1回から2回の治療をおすすめしております。まずは2カ月から3カ月程度の期間で治療を継続していただきます。症状が落ち着いてきた場合は、数週間に1回などのように、徐々に間隔をあけて治療をすることも可能です。
Q2:紫外線療法の副作用はありますか?
紫外線療法(光線療法)は安全性の高い治療法ですが、皮膚の赤みや、色素沈着(日焼け)、ほてった感じ、やけどなどを生じる可能性があります。 治療のはじめは、安全性を重視したうえで、短い時間で弱めに照射をします。患者様に副作用が生じていないことを確認しながら、徐々に、照射する時間を調整し、おひとりおひとりの患者様に合わせたエネルギーでの治療を行います。
Q3:紫外線療法を受けられない人はいますか?
光線過敏のある方や、光線によって悪化する疾患(膠原病や、慢性光線性皮膚炎、種痘用水頭症、多形日光疹、色素性乾皮症、ポルフィリン症など)をお持ちの方、プロトピック軟膏を外用中の方、免疫抑制剤(シクロスポリン、メトトレキサートなど)を内服中の方は紫外線療法(光線療法)ができません。詳しくは皮膚科専門医までご相談ください。
Q4:保険適応での治療費はどのくらいですか?
紫外線療法(光線療法)は保険適応の治療法です。
3割負担の患者様の場合、1回約1,000円です。(※初再診料や処方料などは別途必要です。)